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執筆者の写真株式会社あわえ

【自治体向け】サテライトオフィスのメリットと事例紹介


サテライトオフィスってなに?そもそも地域にとってどんなメリットがあるんだろう?と疑問に感じる自治体担当者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、サテライトオフィス誘致を考える自治体の方に向けて、具体的な自治体事例を交えながら、サテライトオフィスとは?についてご紹介したいと思います。

サテライトオフィスってなに?

サテライトオフィスとは、企業または団体の本拠から離れた場所に設置されたオフィスのことです。地域に既にある公共施設やコワーキンスペースを活用したり、行政もしくは進出企業自身が古民家を借りてオフィスとして改修したりなど、オフィスの形は様々。


企業の使い方は、地方にオフィスを所有せず、シェアオフィスやコワーキングスペースを利用しながら、都市部と地方を行き来して実施する場合(循環型サテライトオフィス)と、古民家や空き家などをリノベーションして地方にオフィスを構え、スタッフが常駐しながら実施する場合(常駐型サテライトオフィス)があり、使い方は企業のニーズによって異なります。

サテライトオフィス開設数は年々増えている

全国のサテライトオフィス開設数は右肩あがりで増えていて、平成30年度までの開設総数は512社であり、うち68社が既に撤退しているため、平成30年度末時点で開設中のサテライトオフィスは全国に444社あります。


サテライトオフィスの役割とは?

企業がサテライトオフィスに求める役割とは大まかに次の3点があげられるでしょう。


◉新規事業・人材採用・顧客開拓など事業戦略上必要な地方拠点としての役割 ◉社員のワークライフバランスの実現 (例)昼休みにサーフィンができる四国の右下「work switch play」 ◉働き方改革を実現するための取り組みの一環 企業がサテライトオフィスになにを求めているかは、各企業によってバラバラなのが現状。そのため、「汎用的な売り出し方」ではなく、各自治体がそれぞれの特色を明確にしてそこに“ささる”企業を誘致する方が効果的なのです。


サテライトオフィス進出による自治体への効果

企業のサテライトオフィス進出における自治体への波及効果として、どんなものがあるのか見ていきましょう。


総務省による「地方公共団体が誘致又は関与したサテライトオフィスの開設状況調査結果」から抜粋した、サテライトオフィス誘致活動を実地している自治体担当者のアンケート結果を見ると、次のような点が挙げられていました。

・地元出身者、U・Iターン者の雇用の受け皿(移住希望者の増加)・交流人口・関係人口の拡大 ・近隣住民や地元自治体等の連携

・交流等による地域の活性化

・遊休施設・空き家等の活用

・地元企業等の連携等により地域産業の成長に寄与

・新たな企業進出の誘発

衰退ループを断ち切り好循環ループへと変換するサテライトオフィスの効果

下記の図のように、地方の衰退は地場産業の衰退からはじまり、魅力ある安定した職場が不足していることが文化や人材の流出につながり、その結果さらなる産業の衰退が進むという負のループに陥ってしまいます。




これらの地域衰退ループから抜け出すために、魅力的な職の誘致=サテライトオフィス誘致事業を行うことで、行政や地域の企業や住民と共に、「有機的で活発なコミュニティ」を地域に創出することが可能になり、その結果、地域全体が活性化していく好循環のループに近づいていくことになります。






サテライトオフィス誘致による効果の順番

サテライトオフィス誘致における波及効果には、効果が現れる順番がある程度存在します。「すぐに地域の雇用創出を目指す!」のではなく、順を追って着実に地域のためのサテライトオフィスを実現していく必要があります。

1、関係人口や移住者の増加 サテライトオフィスを通じて都市部と地方を行き来する社員が「地域のファン」となりことで交流人口が増加する。または、常駐スタッフやその家族の移住が期待できる。


2、空き家・空き店舗活用 進出企業が空き家・空き店舗を改修しオフィスとして活用することで地域の空き家問題に対する解決策の一つとなる。


3、地域自治の継承 サテライトオフィス企業の社員が、地域の祭りや行事、消防団等へ積極的な参加をすることで、地域活動の担い手を増やすことにつながる。


4、起業促進 若年人口増による地域内消費の増加やPR効果により、飲食店などのサービス業が地域に増える。


5、地域人材育成 テレワーカー・地域スタッフなどを雇用するために、進出企業が地域人材を育成する。


6、雇用創出 IT・クリエイティブ・地方創生に興味を持つ若者が希望するような業種・業態が地域に増える。地域に職業の多様性が生まれる。


7、地域課題の解決 防災・獣害対策・各種PRなどの地域課題を進出企業が解決する。


8、教育 プログラミング・IoT・デザインの出前授業だけでなく、地域の子供たちへ新しい働き方や生き方の多様性を提示できる。


どんな自治体が取り組んでいるの?事例紹介

平成30年度末時点での都道府県別サテライトオフィス開設状況を見てみると、北海道および徳島県が最多の64社であり、次いで島根県の43社となっています。これまでの流れとしては、少子高齢化が進む過疎地域でのサテライトオフィス誘致が主流ではありましたが、最近は人口規模が5万人を超えるような地方都市でもその需要が高まっており、サテライトオフィスのあり方も多様化しています。



では実際にどのような自治体がサテライトオフィス誘致に取り組んでいるのか事例をご紹介していきます。

◉サテライトオフィス誘致自治体事例1)

徳島県美波町

徳島県南部に位置する人口約6,500人の小さな港町、美波町。典型的な過疎の町であるこの町には2020年現在、20社がサテライトオフィスを開設しています。この開設数は、北海道と並びサテライトオフィス開設数全国一位の徳島県の中でも最多となっています。サテライトオフィスを軸に、先駆的な取り組みを進める美波町は「地方創生の先進地」として、全国から自治体関係者や地域活性化に取り組む方々が視察に訪れています。


サテライトオフィスが進出したことにより、商店街では飲食店を中心とする新規開業が促進され、一時期は人口増加を記録するなど、目に見える成果が現れていることも特徴です。過疎地だけれどにぎやかな町を地域内外の人が集まって実現することを目指し、まちづくりのキャッチフレーズ「“にぎやかそ”にぎやかな過疎の町 美波町」を掲げ、元気な過疎地のモデルづくりを行っています。


◉サテライトオフィス誘致自治体事例2)

宮城県富谷市

「住みたい町No.1」を目指す宮城県富谷市は人口約5万人、仙台市の隣に位置し、通勤通学にも便利な典型的なベッドタウンです。富谷市まちづくり産業交流プラザ「TOMI+(とみぷら)」を中心に、住民の自主性を育む塾「富谷塾」や好きなことを持ち寄って小さな生業を育てる「大人の部活」など、様々な活動が展開されています。


富谷市には現在20を超えるサテライトオフィスが進出していて、「TOMI+(とみぷら)」や様々な交流を通じて行政や市民と一緒に地域活性化活動に貢献しています。「富谷塾」は現在200名ほどの市民が塾生として活動しているので、行政と市民、そしてサテライトオフィスが協働して、共に進める新しいまちづくりのあり方が進行中。「地域活性化=過疎地のもの」というイメージを壊し、新しい形での地域活性化モデルが東北で始まっています。


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