自治体と企業を、つなぐイベント。「地域課題を、ビジネスチャンスに。」 第13回イベントレポート
「自治体と企業のマッチングイベント」は、地域に山積する課題(=日本の抱える課題)をビジネスチャンスと捉え、地域と共に新たなビジネスチャンスを創出するためのイベントです。
株式会社あわえでは、企業と地方自治体とが共に手を携えて新規事業創出に走り出すきっかけとなる「スタートラインに立てる場」として、本マッチングイベントを2017年5月より継続的に開催しており、来月2月に第14回を迎えます。
地方の雇用創出や産業振興などの地域課題解決の有効な手立てのひとつとして「サテライトオフィス誘致」をまず最初の目標としている本イベントを通じ、これまで30以上※の自治体と企業のマッチングが実現しています。 ※ 多くの自治体が複数回出展されています。
例えば、2018年10月の第8回マッチングイベントに出展された富山県立山町には、イベントで出会った廃校活用プラットフォームの運営企業がサテライトオフィスを開設しています。また、2017年からマッチングイベントに出展されている神奈川県真鶴町のように、昨年11月のイベント直後に企業の視察を受け入れ、年内にその企業のサテライトオフィス開設を決められた自治体も現れています。
企業視点でも、企業の地方ビジネスへの参入が地方に新たな雇用先を創出するだけでなく、地元人材の採用による社員の定着や、業績・企業価値の向上にも寄与している実績を踏まえて、あわえでは企業の皆さまが本イベントを積極的に活用されることをお勧めしています。
人材不足に悩む企業が、地方での人材育成や採用を強力にバックアップできる自治体の話に耳を傾けた結果、採用に拍車がかかり、事業拡大を実現された成功事例も複数挙げられます。
■成功事例(一部)
株式会社Skeed(美波町IoT推進ラボのコンソーシアムメンバー) ⇒産学官連携「止まらない通信網を活用した命をつなぐ減災事業」 マイナビニュース IT Search 記事 → 1人でも多くの命を守れ! 徳島県美波町が挑む”止まらない通信網”
サイファー・テック株式会社 ⇒人材採用 毎日新聞(デジタル毎日)記事へ(有料記事)→ 仕事も趣味も波に乗れ ITベンチャー、人材不足を過疎地が解決
私たちは、地方での新規事業創出を目下の目標としている企業だけを求めているわけではありません。 実際に、これまで全13回のイベントには本気で地域課題に挑みたい企業の皆さま累計約1,450名にお申込みいただきました。直近の第13回マッチングイベントには約140名が申し込まれ、約100名が参加されました。
今回は直近の「第13回マッチングイベント」の様子を、写真を中心にレポートします。
2019年11月13日(火)当日。再開発で新築ビルが立ち並ぶ日本橋地区の洗練されたオフィスビルの一角の会場では、13:30からの受付開始後30分を待たずしてご用意したお席は満席状態となっています。
14:05-14:15 特別講演「Society5.0社会×地方創生 ~取り組むためのヒント~」
14:00の定刻にイベントを開始、あわえによるイベント概要説明のあと、山崎 俊⺒氏(一般社団法人エコロジー・カフェ アドバイザー/前 総務省大臣官房総括審議官/元 内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部 事務局次⻑ [内閣審議官] )による特別講演がスタートしました。(※肩書は当時)
来場の企業の皆さまも自治体の皆さまも真剣な面持ちで一言も聞き漏らさないよう集中されています。10分間があっという間に感じられる山崎氏の講演は、地方創生のベースとなるビジョンと現状分析、そして有用な指針が理路整然と網羅され、軽妙な語り口で解説いただける必聴の内容です。
14:15-14:30 地域ビジネスの可能性について(あわえ)
続いて、株式会社あわえ 事業開発部 広域事業責任者 ローカル・インテグレーター 吉田 和史によるセッションです。 吉田率いるあわえ広域事業チームは、日頃から全国の自治体を訪問し、講演やワークショップ、時には関係部署の皆さまや住民の方々とディスカッションを行っています。彼らがこれまで地方で直接得た各地の一次情報や、自治体と企業の地域課題解決を支援してきた現場体験において蓄積した知見や、サテライトオフィス誘致を核とする地方創生・地域振興の処方箋について、ハイレベルなエッセンスとして参加者の皆さまに共有させていただきます。
14:30-16:20 出展自治体PRプレゼンタイム
今回は10自治体のご出展だったので2時間ほどかけて、出展自治体担当者によるプレゼンテーションを行います。
自治体の皆さまがここで、地域の魅力や受け入れ体制の充実具合のアピールだけでなく、地域の課題や今後どうしていきたいかというビジョンを解りやすく伝えることができると、参加企業は地域での展開をより具体的にイメージすることができ、出展している地域の中でもどの地域と相性が良さそうか、判断しやすくなります。また、企業がその地域の地域課題解決のための新規事業を具体的にイメージできれば、その拠点としてのサテライトオフィス開設の前向きな検討が現実味を帯びます。
自治体プレゼンのトップバッターを、宮城県 川崎町 株式会社MAKOTO WILL 江本 侑太氏にお願いしました。
川崎町は、「ストーリーテラー」をキャッチコピーに、地域の魅力や活動のコンテンツか、情報の一元化、統計分析の整備を具体的な課題として一緒に取り組み、これからの課題プラスαを解決する事業を創る企業を求めています。
その後、島根県 雲南市 産業観光部 商工振興課 企業雇用支援グループ 江角祐哉氏からのプレゼンです。
「子ども×若者×大人×企業 チャレンジの連鎖による持続可能なまちづくり」を提唱する雲南市。主体的な行政職員と主体的な地域団体による、進出企業とのコラボレーション実績を持ちます。教育分野での今後は子供の宿題を見るロボットを開発できる企業や、コミュニティーナースなど地域医療に熱い人材を活用した医療・健康サービス関連の企業をはじめ、AIやドローン技術などの先進技術の実証実験を推進できる土壌が整備されています。
3番手は、神奈川県 真鶴町 政策課 戦略推進係長 卜部 直也氏と、サテライトオフィス誘致コンシェルジュ 遠藤 日向氏のお二人です。
神奈川県初の過疎地域指定をうけた真鶴市。日本3大急深と称され、暖水性から冷水性、回遊魚から深海魚までの豊富な海産魚介類が揚がる「駿河湾」を最大限に活用した「海洋関連」の新規事業や、研究、実証実験などで課題解決するパートナーを求めています。一方、3Dプリンターやレーザーカッターなどデジタル工作機器を備えるファブラボも整備し、リーンスタートアップを支持するなど、スタートアップ企業とも親和性がよい町です。
4番目のプレゼンは、新潟県 三条市 経済部商工課 商工係 丸山真氏です。
以下のような防災分野での地域課題の具体的な解決目標について説明されています。 ・タイムリーに全住民、全企業に防災情報を届けたい ・土砂災害に関わる避難情報の発令を適切に行いたい ・災害時孤立した集落も救助できるようにしたい ・市が出す防災情報を外国人にもわかりやすく伝えたい
5番目は広島県から、中山間地域振興課 菅原壮司氏にお話しいただきます。
中山間地域でお試しオフィスのある6市町の紹介や、中山間地域ならではの新しいワークスタイルの提案をされています。
6番目は、広島県 庄原市 企画振興部商工林業課 商工振興係 武下雄一氏によるプレゼンです。
東は岡山県、北は島根県・鳥取県に隣接する“県境のまち”、庄原市の広島県立広島大学庄原キャンパスには、生命環境学部の生命科学科、環境科学科があり、環境等バイオテクノロジーに精通する人材を輩出しています。 水と緑に恵まれ、四季の変化に富んだ豊かな自然環境がベースとなる美しい中山間地域独特の農村、里山周辺、高原、市街地エリアを有する庄原市で、優秀な人材と一緒に、環境・バイオ事業を始めとする新しい事業にチャレンジしたい企業にぴったりです。
7番手として、広島県 大崎上島町 総務企画課 企画調整係 川本亮之氏から。
教育機関が充実する大崎上島町は「教育の島」の推進に取り組まれており、学びで世界とつながることを始め、学びの資源を活かした交流機会や町民生涯学習機会の拡充を考えています。Society 5.0に向けた実証実験事業、SDGs推進事業、自然を活用し、教育の島を想定した教材の作成などの教育関連事業に意欲的です。恵まれた果物産業における課題解決として、廃棄される規格外の柑橘等を使用した6次産業化の事業など、企業にとって大きなチャンスがあります。
8番目の広島県 安芸高田市 産業振興部 商工観光課 清水翔太郎氏です。
人口減少、過疎化、若年層の転出や少子高齢化により、地域や地元事業者の課題に対応できる人材が不足してきている安芸高田市では、例えば、マーケティング支援や、従業員教育、RPAによる業務改善、既存施設活用のためのイベント企画運営など、自社の技術やノウハウで地元事業者の抱える課題を解決できる企業を求めています。
9番目の広島県 神石高原町 政策企画課 プロジェクト推進係 梅岡康成氏です。
県立油木高校でドローンアカデミーに取り組み、10月にはドローン関連企業・団体でドローンコンソーシアムを設立、町では安全パトロールや荷物配送の構想を考えているなど、ドローン活用への本気度が高いです。
10番目は、静岡県 南伊豆町 商工観光課 商工振興係 一山良博氏からのプレゼンです。
南伊豆町では、サテライトオフィス進出した企業とのコラボレーションで、豊かな海洋資源を有する南伊豆を象徴するライフスタイル「職・漁師」紹介フリーペーパーを発刊するなど、プロデュース事業を継続しつつ、今後は新しく「コミュニティスペースづくり」や「ワーケーション」など、観光や視察など今できることからこれからの未来へつなげる、生き方・働き方・暮らし方提案やプロデュースの新規事業として大きな可能性があります。
そして最後に、秋田県 小坂町 観光産業課 観光商工班 田村大介氏にトリを飾っていただきました。
鉱山の町として発展した小坂町。現在は優れた鉱山技術を活用し、資源循環型の産業・まちづくりを展開しています。課題としては、猟友会の担い手不足、たけのこ狩りの方の遭難回避、交通網の整備不足や、除雪地策、災害発生時の高齢者の避難対策などがあります。求める企業像は、デザインコンテンツ制作ができる企業、町内・観光情報の発信ができる企業です。
16:20-18:00 マッチングタイム
全10自治体の各ブースに散らばって、約1時間半におよぶマッチングタイムがスタートします。
参加企業の方々が、プレゼンテーションを聞いて興味を持った自治体のブースを訪問し、プレゼンで話されていた課題の具体的な解決法に関する相談や提案、今後のサテライトオフィス進出のプロセスについてなどのディスカッションをおこないます。
地域課題と企業のビジネスとがマッチした時の次のアクションは「視察」です。本イベントで視察のアポイントメントが確定した自治体の満足度は非常に高く、サテライトオフィス誘致の実績となるスピードが一層早い傾向があります。
あわえでは、今回のマッチングイベントから「マッチングリザベーションシステム(MRS)」を導入し、企業がイベント参加を申し込んだタイミングで、興味のある自治体とのアポイントメントをあらかじめ確定できるようにしました。これにより、プレゼン後に自治体ブース前で個別面談の順番待ちをする必要がなくなり、約束した時間までを有効活用して新たに興味を持った自治体と話すことができます(申込期間設定あり)。
あわえのマッチングイベントではいつも、自治体との面談を希望される企業が自治体ブース前で列を作って待つことが多いのです。今回も、すべてのブースでイベント終了時刻まで列が途絶えることはありませんでした。
定刻の18時にイベントが終了し、出展自治体の皆さまが撤収作業を終えて会場をあとにしたのは19時を過ぎていました。 皆さま、大変お疲れさまでした。
■関連■ あわえのマッチングイベントを最大限に活用し、町づくりを展開されている自治体インタビューシリーズ
1.宮城県富谷市|企業に対する無邪気な興味と対話の継続に尽きる!マッチングイベントはまちづくりのスタートライン 富谷市 経済産業部 産業観光課 課長補佐 兼 街づくり産業交流プラザ『TOMI+』副所長 今野 善徳氏インタビュー
2.神奈川県真鶴町|官民連携ネットワークを駆使したサテライトオフィス誘致から連鎖が起きる地域づくり 神奈川県真鶴町 政策課 戦略推進係長 卜部 直也氏 インタビュー
あわえでは、企業が実際に地域に赴く「視察」をマッチングイベントでの第一のゴールと考えています。自治体がサテライトオフィスの誘致を実現するためには、マッチングイベントでの「出会い」をその場限りにせず、イベントで感じた「無邪気な興味を失わずに」すぐに具体的な次のアクションを起こすことが重要なのです。
■アンケート結果
参加企業者向けのアンケート結果から、成果の目安となる設問と回答を抜粋してご紹介します。 自治体ブースで個別面談した企業のうち、各自治体についての評価を回答した企業数: 平均50社/自治体
設問1.地域課題解決につながる提案をイメージできましたか?
「a.具体的にイメージができた、b.内容を詰める必要はあるが、方向性はイメージできた、c.自社事業領域で対応できそうな課題を感じることができた」のいずれかを回答した企業の合計: 平均 37社/自治体
設問3. 各自治体への地域参入の可能性について
「サテライトオフィス開設を検討したい」と回答した企業数: 3社 「現地視察に行きたい」と回答した企業数: 平均8社/自治体
設問7. なぜ地方でのビジネスに興味があるか教えてください(複数回答可)
新規ビジネス創出のため: 83.7% 人材確保のため:22.4% 販路拡大のため: 18.4%
■参加企業の声
・課題に対して当社のニーズがマッチしそうな点と、対単一自治体にとどまらない広がりが見い出せそう。 ・別の部署との連携事業があり、その発展形が見えてきた。 ・教育機関とのコラボ、農地管理などの分野でのコラボがイメージできた。
第13回目のイベントに限らず、あわえのマッチングイベントに出展される自治体は、企業の活動を全力でサポートする意志を持った自治体ばかりです。地域課題を皆様の企業と一緒に解決したいと本気で考え、具体的に推進していく思いの強い自治体なのでビジネス展開につながりやすい、質の高いマッチングの実現が可能です。 地方でチャレンジしたい企業の皆さま、次回のイベントでお待ちしております。
■第14回の開催予定
2020/02/05 (水) 14:00 – 18:00 TKP赤坂駅カンファレンスセンター イベント詳細やご来場のお申し込みは、こちら↓↓
【イベントは終了しました】
■参加特典 ご参加いただいた方全員に、出展自治体のプレゼンデータ(PDF)をご提供しています。 当日聞き漏らしてしまったり、会期後じっくり検討する際に是非ご活用ください。
■お問い合わせ先 株式会社あわえ 担当:香月(かつき)、吉田 和史、木本 Tel:03-3266-5910 Email: event@awae.co.jp
■注意事項 ※既存商品・サービスの売り込みを目的としたご参加はご遠慮いただいております。 ※本イベントへの参加が相応しくないと主催者が判断した場合は、お断りすることもございますのでご了承ください。 ※株式会社あわえでは、出展される自治体とご来場いただくお客様とのより意義のあるマッチング促進を目的として、当マッチングイベントの様子をFacebook等ソーシャルメディアに掲載することがあります。あらかじめご了承ください。
地方自治体の皆さま/地方での地域課題に挑戦してみたい企業さまへ
真鶴町のような、地域社会にとっても進出企業にとっても効果的なサテライトオフィス誘致を核とした地方創生、関係人口創出にご興味をお持ちの皆さま、お気軽にお問い合わせください。お問い合わせフォームはこちら
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